ふぐ種類別詳細:
硬骨魚類・フグ科
Tetraodontidaeの魚の総称
元来はフクで、下関市では現在でもフクと呼びます。この名は、腹を膨らませることからでたとも言われるますが、口から水を吹きだす習性からでたという説もあります。英名パッファー puf-fer も語源的には「吹く者」という意味です。また、古く中国で「河豚」という字があてられたのは、揚子江をさかのぼるメフグが人々に親しまれていた為です。
形 態・生 態
体は長卵型。体の表面はまったくなめらかなものと、棘状鱗をもつものがあります。口は小さく、上下両顎に各二枚の門歯状の顎歯があり左右に並んだ二枚は中央の縫合線で接し、全体としてはくちばし状をなしています。胸ヒレは短く高位で、小さなさい孔がその直前に開いています。腹ヒレも腰帯はありません。いずれのヒレも軟条だけからなり、棘状がありません。胃はくびれによって背腹の二部に分かれています。腹側の部分を膨張嚢といい、その腹面は体壁に癒着しています。この膨張嚢に水または空気を吸い込んで、腹を大きく膨らませることが出来ますが、吸い込む水の量は体重の四倍にも及ぶことがあります。驚いたときなどに、フグが急に膨れるのはこのような機構によりますがフグの体側筋はむしろ退化していて、その代わりに背ヒレ・尻ヒレの屈筋が
よく発達して、これらの筋肉も腹を膨らませるのに役立っています。

温帯から熱帯にかけて広く分布する沿岸性の海産魚で、主に尾ヒレを左右に振って泳ぎ、体が丸いので速度は遅いようです。動く眼瞼を持つ。肉食性で、堅い歯を持ち、顎の筋肉が発達しているのでエビ・カニ・ヒトデ・小魚など様々のものを食べます。また、口から水を吹き出して、海底の砂の中に潜んでいる貝、イソメなども食べます。

釣りの糸をよく噛切るのも、釣上げられた時にギイギイと歯ぎしりするのも、歯と顎が発達しているためです。  砂に潜って眠る奇習もあります。
種 類
フグ科に属する魚は、日本近海に八属三四種が知られています。その主な種類は、キタマクラ・サバフグ(長崎県・熊本県ではギンフグ・キンフグ、京都府宮津ではサンュウともいう)・シマフグ・トラフグ(大分県でゲンカイフグ、山口県でホンフグ、広島県でマフグ、高知県でモンフグ、和歌山県でオヤマフグ、富山県でイガフグともいう)・カラス・クサフグ・ゴマフグ・ショウサイフグ(福岡県でスズメフグともいう)・マフグ(山口県でナメラフグ、各地でオウシュウフグ・コメフグともいう)・コモンフグ・ヒガンフグ(神奈川県三崎でナゴヤフグともいう)・アカメフグ・ホシフグ・サザナミフグ(ヨコシマフグともいう)・メフグなどです。

その他、分類学上、フグ科と並んでフグ目に属する魚には、モンガラカワハギ科のモンガラカワハギ、カワハギ科のカワハギ・ウマヅラハギ、ウチワフグ科のウチワフグ、ハコフグ科のハコフグ・ウミスズメ、ハリセンボン科のハリセンボン・イシガキフグ、マンボウ科のマンボウ・クサビフグなどがあります。

参考:大日本百科事典